ksukefukushima.blog

2009/03/26

お寿司屋さんの改修設計と・・・

僕が設計、福島工務店で施工の「銀の鐘6号館改修」がつい先日完成しました。

細かいディテールのレベルでのやり取りがはじめてだったので、共通理解を持つのに一手間ありましたが、お陰で素晴らしい分業の中で完成度の高い改修になりました。
全体的なデザインディレクションと、正面の格子の細かいディテールのデザインを担当し、あとは福島工務店の現場担当、金山さん小沢くんに任せ、さらには大工さんまでの緻密な連携でスムーズに現場が進みました。

オーナーさんもすごく喜んでくれていて、集客ももちろんだけど、このエリアに灯りをともしていくような存在になってくれることを期待しています。

というのも、物件のある堺町通りという場所は、小樽の観光街になっていて、運河を見て、堺町通りでガラスをみて、スイーツなどのお菓子やお土産を買うという場所として位置づけられています。
それ故、お店のほとんどは早い時間にしまってしまうので、夜はちょっと暗いんですよね。

トレノの計画のときもそうだったんですが、観光と地元が乖離してしまってはしょうがないので、重ね合わせがキーワードかなと思っています。
当然収支の問題もあるので、無責任に遅くまで営業しろとは言えませんが、それも仕組み作りだと思うので、N合同会社の方でそういった仕組み作りなども今後トライしていきたいと思っています。



設計の話に戻りますが、実は僕はよほどのこだわりが無い限りは、分業の中で現場の力量に任せたいと思っています。
だって、現場の人たちは設計する人間以上に建築を建てるっていうことを良く分かってると思うんですよ。事実、設計事務所からあがってくる図面が間違いだらけなんて状況は当たり前にあるわけですから。
なので、イメージさえしっかり共有できれば、あとは優秀な現場スタッフに任せた方がロスが少なく精度の高い建築が実現されるんですよね。それはコストにも影響してくる。
にもかかわらず、虚実の矛盾としての主従関係がやっぱり建築界にはあって、実業である下請けさん、そしてそのパッケージをしている工務店が非常に弱い状況に追い込まれています。
(場所と商圏が命な職業を実業として認識しています。)

お客さんの認識の改善も必要だと思うし、それを牽引しているメディアにも問題は感じています。
だって、メディアは「こんなに良い家がこんなに安いんです」もしくは「耐震偽装などの欠陥建築」っていう二極でしかニュースにしないですから。
タマホームのCMで「いい家にはお金がかかる」なんてみのもんたが発言しているのだけど、それはすごく見てて気持ちよかった。
「なんちゃらの匠」をはじめとしたリフォーム系の番組とかって、どう考えてもありえない総工費で、その上設計料の話は出てないしね・・・。


僕はとにかくその悪しき構造を変えたいと思っていて、いまよりも現場優位の状況を作り出したいなと思っています。少なくとも福島工務店の商圏内ではそういう流れにして、実業勝ちの状況を作っていきたいと。

とはいえ、中にはそこまで考えてくれている設計事務所や建築家もいらっしゃいますので、よりよい建築業界のあり方を、そういう人たちと共に模索していきたいなと思っています。


いずれにしても今回の作業で、連携の形が確認できたので、今後もこのスタイルでどんどんこなせていけたらと思います☆