ksukefukushima.blog

2008/07/29

ちょっと分かったこと。

一昨晩から東京に戻ってまいりました。
今年の北海道は涼しい日が多くて、なんだか懐かしい感じがしました。
ってのは、やっぱり温暖化のせいで、年々猛暑が北海道でも当たり前になってきてるから。
北海道で冷房なんて昔は個人宅にはほとんど無かったのに最近はけっこう増えてるみたい。


さて、「PopulouSCAPE HD展」も昨日で盛況のもと終わりました。
DVDを買ってくださったお客さんもけっこういたみたいです。ありがとうございました。
やっぱりフルハイビジョンだとこの作品の魅力は伝わりますね。




写真は一人で何ループも映像を見てくれていたおねーさん。
フライトキャプテンとして解説しに行こうかなと思いましたが、なんとなく邪魔するのもなんなので遠慮しました。
いや、ナンパとかではなく、やっぱり作品は把握している人間が解説することで光り輝きますから・・・と、ついこの間、某博物館館長に体験させてもらったところでした。


・・・
「ちょっと分かったこと。」ってのは、こんなこと。

僕、マーク・ロスコの絵がすごく好きなんですよ。
といいつつまだ佐倉にはいってませんが、とにかく好きなんですよ。
ただ、それがなぜなのか今までは分からなかった。

マークロスコ(ウィキペディアより)
で、ロスコの絵ってのはこんな感じ。

ウィキペディアにもあるように「人生における安息や絶望を表現」らしいのだけど、僕がこの絵にひかれたのは、僕の記憶の原風景と重なったからなんですよね。
抽象画って、そういう作者が意図しない再解釈がされること、多々あるんだろうなぁ。

今回はちょうど日が落ちる頃、マジックアワーなんて呼ばれてる時間帯、そんな時間帯にJRで小樽から銭函(小樽の札幌より)に続く、片や断崖絶壁の崖、片や日本海の風景を通ってたわけです。
例のユーラシア404が崖の上にちょっと見えたときに、真っ赤な夕焼けの空がガラス面に映ってたんですよ。
思わずカメラをかまえようとしたけど、この圧倒的な自然の風景の広がりはやっぱり写真や映像には収めきれないと思って諦めたんだけど、そんな中気づいたんですよね。

日本海側は、海の青があって、夕焼けで真っ赤にコントラストが上がった風景。
銭函を抜けると今度は海の風景から山側の風景に変わるんだけど、こちらも空は真っ赤に染まって、山は緑色。
一見塗りつぶされた色が数色あるだけのように見えて、よく見ると波や、空のグラデーションや雲、緑一色には見えるけど、細かに色が違う葉の向きによる反射など・・・。

それがまさにマークロスコの絵と重なってたことに今回気づいたんですよね。
単色のように見えて、アナログならではの色のムラというか、複雑さ。
その複雑さと自然の複雑さが重なったわけで、抽象画のロスコの絵が、何か写実的な風景として僕には映っていたようです。

僕が生まれ育った小樽はどの通りからも、道の先には山か海が見えるっていう、山に囲まれた港町。

そんな風景も札幌に近づくにつれてどんどん消失していきました。
東京もだけど、日本の大都市はやっぱり色で言うとグレーだよね。
決して美しい風景ではないな。


毎月、小樽と東京を行き来しているけど、移動時あたりには両者の差を改めて毎度毎度考えさせられます。
当たり前のように見えていた風景がいかに貴重で美しいものなのかを再認識します。